厚生労働省は16日、「地域医療構想ワーキンググループ(WG)」で、全国の地域医療構想調整会議の進捗状況をまとめた結果を公表した。構想区域において公立・公的病院が担う診療機能や再編・統合などの方向性について、今年3月末までに調整会議で合意を得られた割合は、公立病院では95%(病床数ベース)、日本赤十字社や済生会などの公的医療機関では98%(同)と100%に近かった。一方で、25年度の公立・公的病院の病床数は、全体としてはほぼ現状維持となる見通しが示された。
地域医療構想調整会議の中で、公立・公的医療機関は公の立場でなければ担えない診療機能を率先して担い、構想地域の医療ニーズに応じてダウンサイジングなどの対応方針を示すことが求められている。
25年度の病床数見込みを17年度の病床機能報告による病床数と比べると、公立病院全体では803床減の80317万3620床、日本赤十字社など公的病院全体では1002床増の30万3295床になる。公立・公的のいずれにおいても高度急性期と急性期の増減幅は1~5%前後にとどまり、回復期は約6000床増加。慢性期は公立で約1300床減、公的で約400床減となる。
この集計結果に対し、WGの構成員からは「さしたる議論もせず合意しているのではないか」などと問題視する声が上がった。25年に向けて医療ニーズ自体は増えていくと予想されており、厚労省は現時点で病床数見込みへの評価は示していない。同省は今後、構想区域ごとに各施設の手術・診療などの実績を分析し、その結果に基づき公立・公的病院の機能について検証していく方針。