(千葉県 K)
【入院に対する有効性41%との報告あり。ただしシーズンや流行株によって報告は様々】
季節性インフルエンザワクチンの入院に対する効果を評価したシステマティックレビューでは,2010/11~2014/15シーズンに18歳以上のインフルエンザによる入院に対する有効性は41%と報告されています1)。また,高齢者の肺炎およびインフルエンザによる入院に対する効果を評価したメタアナリシスでは,地域に在住している高齢者に対する有効性は25~33%,施設入居の高齢者に対する有効性は36~47%と報告されています2)。
インフルエンザによる入院に対するワクチンの有効性が50%とは,非接種でインフルエンザにより入院した人のうち50%は,接種していればインフルエンザによる入院が避けられた,ということを意味します。有効性100%のワクチンはないため,接種者が増えれば接種者からの入院者数(割合ではなく)は増えます。ワクチンの有効性に関する正確な理解が重要だと思います(図1)。
インフルエンザワクチンの有効性はそのシーズンの流行株とワクチン株が合致しているかどうかにより異なります。また過去に受けた接種の影響も受けることが報告されており,有効性に関する報告はシーズンや研究によって様々です。そのため今回は,多くの研究で重症化の指標として用いられている入院についての効果を評価した報告を示しました。
【文献】
1) Rondy M, et al:J Infect. 2017;75(5):381-94.
2) Heo JY, et al:Hum Vaccin Immunother. 2018; 14(3):744-9.
【回答者】
新橋玲子 国立感染症研究所感染症疫学センター第三室
多屋馨子 国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長