厚生労働省は12日の中央社会保険医療協議会総会で、保険収載時に科学的根拠が十分でないと判断された先進的な新規医療技術について、学会レジストリなどへの登録を診療報酬の算定要件とする方向性を示し、概ね了承された。承認審査段階での一定の有効性・安全性の確認を前提に、保険収載後の実臨床で得られたデータを活用してエビデンスを集積する。
2018年度診療報酬改定では、性別適合手術やロボット支援手術の保険収載で、関連学会の症例登録への参加などの要件が設けられた。性別適合手術では、施設基準の中で、レジストリ登録のほか、性同一性障害学会が認定する医師の配置などを要件としている。ロボット支援手術では、National Clinical Database(NCD)への術前症例登録を必須としている。
レジストリ登録の要件化について、診療側の松本吉郎委員(日本医師会)は「革新的技術が次々と開発される状況では実臨床データを活用したエビデンスの構築は重要だ」とした上で、薬事承認プロセスにおける治験症例数が限られる新技術については、施設・患者・医師の要件を限定するなどの対応によって安全性を確保すべきとした。支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会)も「要件化は当然必要」と述べた。
一方、今村聡委員(日医)は、法律に基づくがん登録を例に「医師が登録作業に多くの時間を取られている上に、算定要件に会議が位置づけられており、長時間労働につながっている」とし、要件化の際に働き方改革との兼ね合いを考慮すべきだと指摘した。