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福島県双葉郡の医療体制の現在と課題、そして将来[福島リポート(29)]

No.4968 (2019年07月13日発行) P.60

谷川攻一 (福島県ふたば医療センター長、附属病院長)

登録日: 2019-07-10

最終更新日: 2019-07-09

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  • はじめに

    双葉郡は福島県東部沿岸部およびその周辺に位置する8つの町村(広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村)から構成されており、福島第一原子力発電所事故により最も大きな被害を受けた地域である。双葉郡の人口は約7万3000人であったが、事故により、福島第一原子力発電所から半径20㎞以内の町村、北西部に伸びる浪江町、葛尾村が避難指示区域に指定され、その地域に住む全住民が避難することとなった。避難指示区域では医療機関や介護福祉施設も避難せざるを得ず、避難を免れた近隣の医療機関や施設でも放射線の不安からスタッフが流出し、また、物流減少により必要物資が不足するなど深刻な事態に遭遇した。

    その後、福島第一原子力発電所の復旧作業が進み、地域の環境除染が進む中で、2014年から避難指示が徐々に解除され、19年5月には福島第一原子力発電所が立地する大熊町の一部地域でも避難指示が解除された(図)。この間、幹線道路の交通量は著しく増加し、復興事業と生活基盤の再整備に伴って居住人口が漸増した(19年4月時点での双葉郡の居住人口は約1万3000人)。今後、双葉郡では住民の帰還に加え、復興事業者など人口増加に伴う医療ニーズの拡大が予測されている1)

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