1 ジストニアは知名度の低さや客観的証明の困難さから誤診されていることが多い
2 ジストニアの不随意運動は一定のパターンとして出現する
3 特徴的な臨床所見を問診や診察で確認し,診断する
4 眼瞼痙攣や痙性斜頸は日常診療で多くみられ,職業性・薬剤性,全身性ジストニアもある
5 ジストニアの治療は薬物・手術療法のほか,禁煙など日常生活指導も重要である
ジストニアはまだ一般の方々や神経内科以外の医師の方々には馴染みのない病名である。
疫学的には希少疾患でめずらしいというわけでもなく,軽症を入れると全国で患者数は数万人にも及ぶ可能性のある病気で,働き盛りでありながら働けなくなったり,重症例では寝たきりになることもある重要な神経疾患である。日常生活動作(activities of daily living:ADL)を低下させる疾患でありながら,診断の難しさや知名度の低さから適切な治療を受けられない人が多くいる。
日本神経学会によって代表的な神経科疾患のガイドラインが発表された2001年以降,その他の神経疾患においても診療ガイドラインの必要性が高まり,今回「ジストニア診療ガイドライン2018」の作成・発行となった1)。
基本的にジストニア診断で確定診断となる特異的検査方法はなく,病歴・臨床症状からジストニアを疑い,生理学的検査や画像検査から他疾患を鑑別除外していくという手順をとる。それゆえ,ジストニアの知名度の低さや客観的証明の困難さから心因的な不随意運動と誤診され治療が受けられない患者が少なくない。
今回の診療ガイドラインを機に神経内科医師を含め他診療科医師や一般の方々にもジストニアへの理解が広まることが期待される。
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