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脳神経外科レジデントのためのベーシック手術

脳神経外科レジデントが「必ずマスターしておきたい」基本手術をわかりやすく丁寧に解説した1冊

定価:14,300円
(本体13,000円+税)

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編: 齋藤竜太(名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科学 教授)
判型: B5判
頁数: 392頁
装丁: カラー
発行日: 2025年09月10日
ISBN: 978-4-7849-0180-7
版数: 初版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

脳神経外科レジデント、必携の書
脳神経外科手術は、その知識、技術が洗練され、治療効果の向上かつ安全性の向上が達成される時代となってきています。たとえば、脳血管障害では、かつて主流だった開頭動脈瘤クリッピング術が、血管内治療へとシフトしつつあり、従来の手術を経験できる機会が減り、術者の養成が大きな課題となってきています。そんな時代の要請に応え、若手脳神経外科医へつないでいく手術のtipsを、動画を交えつつひとつにまとめたものが本書です。今後も発展を続ける日本の脳神経外科手術のひとつのマイルストーンとして幅広い手術技術基盤を術者教育の観点からシンプルにまとめられています。

本書の特徴は、、
▷脳の解剖、血管の走行がひと目でわかる基本解剖をイラストとともに丁寧に解説
▷全162本の動画によって、手術がみえる
▷脳神経外科レジデントに必須の手術知識をこれ一冊で網羅

診療科: 外科 脳神経外科

目次

1章 手術に必要な基本解剖
1 体表解剖
2 脳機能解剖

2章 手術に必要な基本手技
1 基本開頭
2 後頭下開頭術
正中後頭下開頭術
外側後頭下開頭術
3 糸結び・器具の持ち方・顕微鏡の基本
4 止血法の基本
5 内視鏡の基本
6 外視鏡の基本

3章 直達手術
1 穿頭術
 脳室ドレナージ
 慢性硬膜下血腫
2 水頭症
 シャントシステムと管理
 脳室腹腔短絡術(VPシャント術)
 腰椎腹腔短絡術(LPシャント術)
 脳室心房短絡術(VAシャント術)
 内視鏡下第三脳室底開窓術
3 減圧開頭術・頭蓋形成術
4 頭部外傷
 急性硬膜下血腫
 急性硬膜外血腫
 頭蓋骨陥没骨折
 lobectomy
5 脳出血
 内視鏡下血腫除去術
 開頭血腫除去術
6 脳虚血
 バイパス手術
 間接血行再建
 頚動脈血栓内膜剥離術
7 脳動脈瘤
 内頚動脈後交通動脈分岐部瘤のクリッピング術坂
 中大脳動脈瘤のクリッピング術
 前交通動脈瘤のクリッピング術
 前交通動脈瘤
 前大脳動脈瘤
 椎骨動脈-後下小脳動脈分岐部瘤
8 脳動静脈奇形
9 髄膜腫
 円蓋部髄膜腫
 傍矢状洞髄膜腫
10 頭蓋底腫瘍
11 経蝶形骨的下垂体腫瘍摘出術
12 聴神経腫瘍
13 グリオーマ
 浅在性グリオーマ
 脳深部グリオーマ
 グリオーマ覚醒下手術
14 転移性脳腫瘍
15 定位機能外科手術
16 てんかん
 定位的頭蓋内電極留置術
 側頭葉切除術
17 microvascular decompression
 片側顔面痙攣
 三叉神経痛
18 脊髄脊椎疾患
 頚椎前方除圧固定術
 頚椎椎弓形成術・両開き式
 腰椎片側開窓両側除圧術
 腰椎椎間板ヘルニア摘出術

4章 血管内治療
1 脳血管撮影
2 脳動脈瘤塞栓術
3 頚動脈ステント留置
4 急性期血栓回収療法
5 脳動静脈奇形塞栓術
6 硬膜動静脈瘻塞栓術

5章 定位放射線
1 ガンマナイフ

索 引

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序文

脳神経外科医とは,一言で表すと「外科医の目と技を持った神経系総合医」です。脳神経外科学会作成の新人勧誘のためのパンフレットにあるフレーズです。脳神経外科の活動は多岐にわたり,脳卒中,脳神経外傷などの救急疾患,脳腫瘍,てんかん,パーキンソン病,三叉神経痛,顔面痙攣などの機能的疾患,小児疾患,脊髄・脊椎疾患,末梢神経疾患など幅広い疾患領域で,MRI,CT, 血管撮影など様々な医療機器を使用して医療を提供しています。一方で日進月歩の診断機器の進歩,新しい手術法・治療手段の発展により,治療可能な疾患は増加傾向にあり,手術件数も増加傾向にある昨今です。
我々が脳神経外科を志すようになり,手術を勉強しはじめた時代は,分厚い手術書を片手に,先人たちの手術を見学し,時間をかけて一つひとつの技術を習得することが必要でした。緊急手術の機会を逃さないように,絶えず病院にいて,極端に言えば,すべての手術を“見る”ことが手術上達への近道とされました。時代は経過し,ほとんどすべての情報がインターネットから入手可能となり,手術の要点を的確に解説した多くの動画に接することも可能となりました。趣味の工作でも,料理でも,スポーツでも動画から学ぶことができる時代になりました。料理などは,初心者であっても動画を参考につくることで, 非常においしい食事をつくることも可能になっています。いわゆるHow-to本は,動画へと移行する時代になったと言えます。
一方で,脳神経外科手術は,その知識,技術が洗練され,治療効果の向上かつ安全性の向上が達成される時代となり,かつて許されていたlearning curveの思想が許されなくなってきています。脳血管障害では,かつて主流だった開頭動脈瘤クリッピング術が,脳血管内カテーテルの製品的・技術的発展の流れを受けて血管内治療へとシフトしつつあり,従来の手術術者の養成が大きな課題となってきています。以前より少ない症例に学び,以前より良い成績を出すことが求められる時代になったのです。
ところで日本の脳神経外科は, もやもや病の概念確立, 脳動脈瘤に用いる杉田クリップなど今にも継続する国際的な業績を多く残しつつ発展を続けています。術中MRI,内視鏡手術,外視鏡手術,覚醒下手術,定位的ロボット手術など,整備された医療体制をもとに,現在も世界最先端の治療を提供する国のひとつであると言えます。その中で,より安全な,より正確な手術をめざして日々の臨床業務が実践され,日々,脳神経外科医が抑えておくべきポイントが多数生まれてきています。その一つひとつを大切にして,次世代に伝えていくことが「以前より少ない症例に学び,以前より良い成績を出す」ことが求められる今の時代の重要なことと考えます。
時代の要請に応え,若手脳神経外科医へつないでいく手術のtipsを,多くの動画を交えつつひとつにまとめたものが本書になります。今後も発展を続ける日本の脳神経外科手術のひとつのマイルストーンとして,幅広い手術技術基盤を術者教育の観点からまとめさせて頂きました。多くの動画がいわゆる今の時代のHow-to本として,安全・確実な手術につながることを祈念しています。
2025年7月
名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科学 教授
齋藤 竜太

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