日本医師会は10月11日、「外国人医療対策会議」を開催し、厚生労働省や都道府県医師会などと意見交換や情報共有を行った。
参議院議員の立場から出席した自見はなこ氏は、私見としつつ今後の方向性について、「EU諸国では、民間医療保険に入っていないと、観光ビザを取得できない仕組みになっている」との例を挙げ、「我々としても次のステップとして(このような仕組みの導入を)目指すべきではないか」と提言した。
医業機関でのキャッシュレス決済に関する議論については、「さまざまな立場の事情や施策を含め、関係者全員で意見形成を行うプロセスを踏むことが重要」との考えを示した。
自見氏は、「私自身の最終目的」として、出国税60億円のうち厚生労働省の予算として得られた5億円の使い道について「将来的には医療通訳や、医療提供体制の基盤整備のための資金源にしてほしい」と強調。外国人を迎え入れるためには、財源確保という側面が欠かせないと指摘し、「この5億円は非常に大事だ」と訴えた。
日医の松本吉郎常任理事は、厚労省が7月に公表した外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関のリストについて、「がんやアレルギーの拠点病院とは全く性格が異なるもの」と指摘。「これらの拠点病院は自院で集約的に治療・研究などができるため手を挙げており、メリットがある。一方で外国人医療の拠点病院は選定されてもデメリットの方が多い」と厳しく批判した。松本氏は、「医師は外国人医療に特化して診療しているわけではない。普段の診療も並行して行うため、非常に負荷が大きい」として、「もう少し国の予算をつけるべきだ」と強調した。
これについて、会議に出席した千葉県医師会の堀部和夫副会長は、「千葉県でも、外国人医療の実績のある医療機関が拠点病院としての手挙げをやめてしまった」と報告。その理由について、「申請するのに苦労が多い割にメリットがない」として、厚労省に対し配慮を求めた。同省担当官は、「実績のある医療機関に参加いただけないのは課題の1つだ」との認識を示し、「国として支援すべきことを分析して、できることを考えていきたい」と述べた。