【質問者】
打田佐和子 大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学講師
【核酸アナログにより劇的に治療成績は向上したが,残る課題も多い】
2000年以降,B型肝炎に対する抗ウイルス治療はインターフェロンとは別の機序の核酸アナログ製剤が登場してきたことにより劇的に向上しました。初期のラミブジンやアデホビルは薬剤耐性が問題となりましたが,2006年には耐性の少ないエンテカビルが保険適用となりました。エンテカビルの96週後のB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)DNA陰性化率は88%,アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase:ALT)正常化率90%と報告されています1)。その後,2014年にはテノホビル,2017年2月にはテノホビルアラフェナミド(TAF)も保険適用となり,現在ではほぼすべてのB型肝炎患者でウイルス制御が可能となりました。
しかし,C型肝炎がインターフェロンフリーの直接的抗ウイルス薬(direct antiviral agents:DAA)によりウイルス学的治癒が可能になったのとは対照的に,B型肝炎をウイルス学的に治癒させることは困難です。核酸アナログ治療により肝炎の鎮静化と肝線維化進展の抑制は可能となりましたが,残された課題として,肝線維化が戻るのか,肝発癌,B型肝炎のウイルス学的治癒〔B型肝炎ウイルス表面(hepatitis B surface:HBs)抗原の陰性化〕等があります。
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