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■NEWS 医師の時間外労働短縮に向けた取り組み、救急病院を手厚く評価─中医協・総会

No.4994 (2020年01月11日発行) P.66

登録日: 2019-12-20

最終更新日: 2019-12-20

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中央社会保険医療協議会・総会は1218日、医師の働き方改革への対応や、「オンライン診療料」の要件見直しなどについて議論した。医師の働き方改革で厚生労働省は、医師の労働時間短縮に向けた、医師の労働時間管理の適正化や36協定の自己管理、タスク・シフティングの推進などの医療機関による緊急的な取り組みを診療報酬で評価することを提案。とりわけ、救急医療体制で重要な機能を担う医療機関の評価を手厚くする考えを示した。なお、2020年度の診療報酬改定では、「救急病院における勤務医の働き方改革への特例的対応」として診療報酬本体の引き上げ財源の一部に消費税財源が充当される。

救急医療機関の評価について支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「医師労働時間短縮計画」(時間外・休日労働時間が年960時間超の医療機関が策定)の内容などが定まっていない現状からは、何の実施や達成をもって診療報酬上で評価するのかのイメージが浮かばないと疑問視。これに対して厚労省は、緊急的な取り組みや医師労働時間短縮計画の項目例などを参考に要件を作成した上で、改めて総会の議論を求める考えを明らかにした。

評価対象施設について厚労省は、医師の長時間労働が常態化しているとされる年間救急搬送受け入れ件数2000件以上の医療機関を目安として示したが、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、救急搬送受け入れ件数だけに着目するのではなく、救急医療を担う医療機関が幅広く評価されるような仕組みの検討を促した。

■タスク・シフティングで麻酔管理における看護師特定行為の評価を提案

医師から他の職種へのタスク・シェアリング/タスク・シフティングでは、「麻酔管理料(II)」について、麻酔管理の一部の診療の補助行為を特定行為の研修や、術中麻酔管理領域のパッケージ研修を修了した看護師が実施した場合の評価を検討することを提案。委員からの異論はなかった。

「オンライン診療料」では、事前の対面診療や緊急時の対応などに関する要件を、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂内容や診療現場の実態に合せて見直す考えを示した。

■「オンライン診療料」は緊急対応や事前の対面診療要件などの見直しを提案

「オンライン診療料」の「緊急時に概ね30分以内に対面診療が可能な体制」の確保を求める要件は、疑義解釈で「日常的に通院・訪問による診療が可能な患者」であれば算定して差し支えないとされているほか、緊急時は救急病院を受診するケースも想定される。このため、厚労省はオンライン診療の対象患者を一定の範囲に限定することと、緊急時の対応を分けて整理することを提案した。

オンライン診療開始前の過去6カ月間に毎月同一の医師による対面診療を求める事前の対面診療要件は、「過去1年間に6回以上の通院があればよい」という運用であるため、オンライン診療の直前の6カ月間に一度も通院がない場合にも算定されている実態がある。厚労省はこうした不適切事例を算定対象から除外する一方で、6カ月連続しての通院実態はなくても、例えば、オンライン診療の直前3カ月間には毎月対面診療が行われ、患者の状態が適切に把握できている場合には、必ずしも6回以上の通院を求めない考えを示した。

「オンライン在宅管理料」では、月2回以上の訪問を行う場合の評価を新設することを提案した。また「在宅時医学総合管理料」の加算という位置付け上、対面診療が行われないケースは考えられないことから、「連続する3カ月間に対面診療が1度も行われない場合は算定できない」の要件は削除する。チームで訪問診療に当たる場合は、全ての医師に事前の対面診療を義務付ける要件を緩和する案も示した。

「オンライン医学管理料」では、オンライン診療を行った月には算定できず、次回の対面診療を行った月に、対面診療との間隔が2カ月以内の場合に限って算定が認められるルールを、オンライン診療の実施月ごとの算定に変更することを提案。受診の延期などで対面診療との間隔が2カ月以上になった場合も算定できるようにする考えを示した。

支払側はこれら提案に賛成したのに対し、診療側は「オンライン診療料」の事前の対面診療と緊急時の対応に関する要件見直しなど、一部提案に慎重姿勢を示している。

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