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人生100年時代の医療[炉辺閑話]

No.4993 (2020年01月04日発行) P.42

加納繁照 (日本医療法人協会会長/社会医療法人協和会理事長)

登録日: 2020-01-03

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人生100年時代の日本の医療を考えると、3つのポイントがあります。

1つ目のポイントは医療需要の見通しです。日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じています。日本の医療需要に関しては、75歳未満の方々に対しては、ほぼ現在の医療供給体制で十分に対応し、逆にぼつぼつ減少しなきゃいけないか、と考えます。今後は、75歳以上に達した方々に対しての医療需要だけが2042年頃まで増加していきます。人生100年時代をいかに元気に過ごして頂くために、発症、治療、リハビリ、社会復帰の繰り返しながら天寿を全うして頂く、在宅と病院との間での地域循環医療となるわけですが、これを「輪廻転『床』」と私は称しています。「輪廻転『床』」を地域で実践できるのが、まさしく、地域密着型病院である民間病院だと思います。

2つ目のポイントは、日本の病院の8割が民間で、7割が医療法人立、さらに7割が200床以下の病院であるのが実態です。民間病院の多くが地域で育ち、地域で必要とされる医療と介護を展開し、地域密着型医療福祉複合体となっています。働き方改革、地域医療構想、医師偏在対策等の三位一体と言われているような集約化の名の下での巨艦病院化論は、高齢者を含め人口減少が進んでいる地方での一時的な対応としては考えられますが、逆に超高齢者が急増する大都市圏ではこの巨艦主義はそぐわないもので、まさしく現在活躍している民間病院を中心にきめ細かく、小回りを利かし効率よく対応すべきと考えます。

3つ目のポイントは、日本の経済力の低下です。今後は、公立病院に毎年約8000億円もの繰入金を入れられる時代では間違いなくなくなります。戦後荒廃した日本の医療を、世界一素晴らしい医療に押し上げた民間病院を上手く活用することが一番の施策と考えます。地域包括ケアを守るのは、小回りの利く、地域密着型の、二次救急を担うケアミックスタイプの中小民間病院で十分であり、巨艦主義の巨大病院はもはや不必要であります。

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