開業して17年目に入りました。最近は、以前診ていた患児が親になって赤ちゃんを予防接種に連れてくるという、うれしい機会が増えてきました。喘息発作でしょっちゅう入退院を繰り返していた子がパパになって来てくれる一方、夜通しの救命治療の甲斐なく朝方亡くなった喘息児もいました。喘息治療は、昔と今ではまったく異なります。もし現在の喘息治療が当時も一般的であったなら、あの女の子も今頃自分の赤ちゃんを連れてきてくれていたかなと思うと、本当に無念です。時代の変遷で治せる病気が増えてきたのはうれしいことです。
ワクチンの変遷も目覚ましいものがあり、おかげでポリオはもちろん、麻疹、風疹、さらには水痘さえも診たことがないという若い医師が増えています。子どもの数は減り今や予防医学がメインとなって、診療時間の半分以上を健診と予防接種に割いている自分は、同じく小児科医だった亡き父とはだいぶ違う仕事をしているようです。
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