【質問者】
澤田康司 旭川医科大学 消化器・血液腫瘍制御内科学分野講師
【臨床症状からの診断が重要】
カルニチンはリジンとメチオニンの2つのアミノ酸から合成されるアミノ酸様の生体内物質です。①長鎖脂肪酸を細胞内のミトコンドリア内に輸送しβ酸化へ誘導する,②細胞毒であるアシル化合物を細胞内から除去する,③エネルギー代謝に関与する補酵素(CoA)を円滑に供給する(遊離CoAプールの維持),などの作用があります。成人では1日必要量の75%が食事(肉や乳製品など)から供給され,25%が主に肝臓で生合成されます。生体内では約98%が骨格筋や心筋,約1.6%が肝臓や腎臓,約0.6%が細胞外液中に分布します。肝硬変患者では,カルニチンの生合成低下,食事からの摂取低下,エネルギー欠乏による需要の増大など様々な要因により,肝臓や骨格筋,ミトコンドリアレベルにおいて相対的カルニチン欠乏状態(二次性カルニチン欠乏症)に陥りやすくなります。
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