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■NEWS 外来医療の機能分化で議論を開始、4月に中間取りまとめ─医療計画検討会

No.5003 (2020年03月14日発行) P.71

登録日: 2020-03-02

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厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」は2月28日、外来医療の機能分化と連携に関する議論を開始した。今後の検討の進め方で同省は、外来医療の中でも、医療資源を重点的に活用する専門外来について地域の実情に応じた集約化を図っていく必要性を指摘。医療機関ごとの機能を明確化した上で、地域での機能分化と連携を進めていくことを提案した。検討会は3月中に外来機能の明確化や、かかりつけ医機能の強化などの個別論点について集中的に審議して一定の論点整理をし、4月に中間取りまとめを行う。

政府の「全世代型社会保障検討会議」は昨年12月にまとめた中間報告で、外来医療について、大病院・中小病院・診療所の外来機能を明確化しつつ、紹介状なしで大病院外来を受診した場合の定額負担義務化対象を病床数200床以上の一般病院に拡大することを提言。検討会議と並行して、厚労省の関係審議会でも議論を重ね、今夏までに成案を得て必要な法制上の措置を講じるとのスケジュールを示していた。

これを受けて、「医療計画の見直し等に関する検討会」では、当面、▶外来機能の明確化、▶かかりつけ医機能の強化、▶外来医療のかかり方に関する国民の理解の推進―の3点を集中審議し、その結果を医療提供体制全般について検討する社会保障審議会医療部会に報告。医療部会での議論を踏まえて、社保審医療保険部会は医療保険上の制度設計を、中央社会保険医療協議会は診療報酬での裏付けをそれぞれ検討することになる。

専門外来の機能分化と連携から議論へ

28日の検討会では、厚労省が外来医療に関する今後の検討の方向性として、実際に提供されている外来医療の機能に応じて、地域の医療機関の役割分担を明確化し、「かかりつけ医機能」を担う医療機関から医療資源を重点的に活用する外来を担う医療機関につなげていく機能分化と連携を進めていく姿を示した。医療資源を重点的に活用する外来とは、従来は入院で行われていた医療を提供する、高額医療機器や特定の領域の知見を持つ医師などを備えた専門外来を想定。入院医療の地域医療構想のように、地域のニーズに応じた集約化を図る必要があるとの認識から、個別論点では、これら医療機関の機能の明確化と機能分化・連携を優先検討課題に位置付けた。

このほか、▶地域におけるかかりつけ医機能を強化するための質・量両面の向上を図っていく方策、▶外来医療のかかり方に関する国民への周知・啓発を誰がどのような形で担うのか―などを論点に挙げている。

議論では、大病院外来の定額負担義務化対象を200床以上の一般病院に拡大するという、全世代型社会保障検討会議の提案に複数の委員が異議を唱えた。織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は、2020年度診療報酬改定で一般病床200床以上の地域医療支援病院に対象が拡大されることに触れ、「これ以上の拡大はいらないのではないか」と述べた。加納繁照構成員(日本医療法人協会会長)も、「一般病院」の定義付けが不明確だと問題提起した。

また、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)は、かかりつけ医から医療資源を重点的に活用する外来につなげていく厚労省の提案について、選定療養に結びつける場合は、医療機関へのアクセスを制限することがないように、専門外来の対象医療機関を絞り込む必要があるのではないか、と指摘した。

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