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TはテストステロンのT [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(22)]

No.4720 (2014年10月11日発行) P.71

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • 医学や科学の記事を中心に、毎号ちょこっと読む程度なのだが、TIME誌をとっている。時々、びっくりするほど面白い記事が載っているのが理由の一つ。それに、自分のよく知る分野の記事の正確さが抜群なので、他の分野についてもきっとそうに違いないと信じている。日本の新聞や雑誌とはえらい違いなのである。

    少し前だが「Manopause?!」という特集表紙の号(写真)があった。Menopause(閉経)からモディファイした造語で、男性更年期というところだろうか。「20億ドルのテストステロン産業」という副題が目を引いた。

    私の研究テーマの一つは精子形成の分子機構なので、アンドロロジー(男性学)の学会に行くことがある。外国のアンドロロジー関連学会では、テストステロン関係のブースがよく出ているから、儲かるのだろうとは思っていた。しかし、そこまでの産業になっているとは思っていなかった。

    テストステロンの血中濃度は20代をピークに徐々に落ちていく。閉経のように何かが終わるわけではない。筋力が弱る、ヒゲや陰毛が薄くなる、精子の数が減る、そして、性欲が衰えていく。

    残り455文字あります

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