安倍晋三首相は4月7日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発令後の記者会見で、新型コロナ感染症(COVID-19)治療薬候補とされている国内メーカーの3つの薬剤(アビガン、オルベスコ、フサン)のうち特に「アビガン」(一般名:ファビピラビル)に触れ、観察研究の枠組みの中で希望する患者への使用をできる限り拡大する考えを示した。
会見で安倍首相は、感染拡大により社会の不安が増大する中、「希望は確実に生まれている」と述べ、期待される治療薬としてアビガンに言及。
「新型インフルエンザ治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンは、既に120例を超える投与が行われ、症状改善に効果が出ているとの報告も受けている」としながら、「観察研究の仕組みの下、希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大していく考えだ。そのためにアビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大する」と明言し、COVID-19患者200万人分に対応できるよう国の備蓄量を増やす方針を示した。
安倍首相はさらに、「病院でアビガンを柔軟に使えるようになるのはいつ頃か」との記者の質問に答え、「(アビガンは)催奇形性という副作用があるため妊婦の方には使えないが、それを十分に認識した上で先生たちも処方される。病院の倫理委員会で使えるということになっていれば、観察研究の中で(希望する患者に)使っていただけるようにしていく。既にいくつかの病院では倫理委員会でアビガンが使えるようになっている」と述べ、倫理委員会を通過していれば医療現場での柔軟な使用は可能との考えを示した。
安倍首相は、COVID-19治療薬としての承認取得に向け3月31日から製造販売元の富士フイルム富山化学が治験を開始したことにも触れ、「世界30カ国以上からアビガンを提供してもらいたいという要望も来ている。今後希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大する」とし、治験を希望する諸外国にアビガンを積極的に提供する考えもあらためて示した。
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