日本の新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)患者の新規報告数は、4月後半から減少に転じましたが、収束にはまだ遠く、大都市部の病院では「医療崩壊」寸前の事態が続いています。安倍晋三首相も、5月4日に全国の「緊急事態宣言」の5月末までの延長を発表した際、延長の第一の理由に「医療現場の逼迫した状況を改善する」ことをあげました。
そのため、医師・医療関係者には、今後の医療について悲観的な見方をする方が多いと思います。しかし、私は、中期的、数年単位で考えればコロナ問題は、今後の医療分野への「弱い」追い風になると考えています。そこで本稿では、私がこう判断する理由を述べます。私は医療(政策)の将来予測をする際、「プラス面」と「マイナス面」を複眼的に書いていますが、今回は、現在大きな困難と不安を抱えている医療関係者に希望を持っていただきたいと思い、敢えて「プラス面」に力点を置いて述べます。