胆囊結石とは病態が異なり,治療方針も異なるので,注意が必要である。胆管炎では菌血症を伴うので,胆道ドレナージが重要である。敗血症に移行する場合があり,重症胆管炎では今でも3%程度の死亡率があるので,発見したら無症状でも専門家にコンサルトする。内視鏡的結石除去が第一選択である。胆囊結石症合併例では,その後に胆囊摘出術を勧める。
症状:胆管炎がない場合は右上腹部の疝痛,胆管炎がある場合は右上腹部痛,黄疸,悪寒戦慄を伴う発熱(菌血症を反映)。
血液検査所見:胆汁うっ滞性肝障害・閉塞性黄疸。
画像所見:胆管拡張と胆管結石が主な所見。各診断モダリティの特徴を列挙すると,CTではX線透過石は診断できない。腹部超音波では下部胆管の描出は難しい。MRCPは有用だが,4mm以下の小結石の描出率は80%前後。EUSで胆管が描出できた場合は,診断率ほぼ100%であるが,描出は術者の技量に依存する。
下記の通り,病態に即した治療方針が必要である。
ガイドラインでは治療検討とされているが,経過観察を基本としている。無症状であるので,ERCPの偶発症である重症膵炎が起きたときにはトラブルになりやすい。十分説明して,納得された患者だけを治療対象とする。
黄疸があるときには可及的速やかに,黄疸がなければ待機的に入院治療を計画し,内視鏡的結石除去を施行する。軽症と思われる胆管炎軽快後に外来を受診した場合も,同様の治療方針としている。
即時入院で抗菌薬投与と重症度に合わせた胆道ドレナージの計画を立てる。全身状態を把握し,その管理が基本である。重症胆管炎・敗血症ではICU管理と緊急の胆管ドレナージが必要で,当該施設では対応できないときには他院への搬送を検討する。内視鏡的ドレナージを基本とし,内視鏡が難しい例では経皮的な胆道ドレナージを考慮する。
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