小生はECMO(extracorporeal membrane oxygenation)の専門家である。2009年の新型インフルエンザのパンデミックの際、日本のECMOは散々たる結果だった。不慣れな医師が、性能の悪い古い機器を用い、手探りのECMOを五里霧中で行った結果、救命率はたったの36%だった。小生はECMOを生業として生き抜くため、2015年から16年にかけてCambridge大学のECMOセンターに留学した。留学先の1年間で80例のECMOをこなした。そして帰国して4年が経過した今、迎え撃ったのは新型コロナウイルス感染症=COVID-19である。
小生は日本COVID-19対策ECMOnetの統括ECMOコーディネーターを拝命した。決死の覚悟で日本のECMOをリードする。そして1人の患者が、県境を越えて小生の元にたどり着く。重症COVID-19肺炎。ECMO Carに乗って、生死を彷徨いながらたどり着く。粛々と冷静に治療を施した。うまくいった。生還を果たし、退院した患者のご自宅から、直筆の手紙が届いた。感涙した。
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