株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

NAFLDの画像診断はどこまで進歩したのか?

No.5030 (2020年09月19日発行) P.48

徳重克年 (東京女子医科大学消化器病センター 消化器内科教授/講座主任)

今城健人 (横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室 講師)

登録日: 2020-09-20

最終更新日: 2020-09-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)の画像診断はどこまで進歩したのでしょうか。
    横浜市立大学・今城健人先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    徳重克年 東京女子医科大学消化器病センター 消化器内科教授/講座主任


    【回答】

     【超音波やMRIを用いることにより,肝脂肪化および肝線維化は高い精度で診断可能になった】

    NAFLD診断のgold standardはいまだ肝生検ですが,針生検では肝臓全体の1/50000の評価しかできません。また,肝生検では侵襲性等の問題があります。そこで近年,種々の非侵襲的な肝病態画像診断法が開発されています。

    最初に開発されたのが超音波を用いて肝硬度を測定する,超音波エラストグラフィ(ultrasound elastography:USE)です。中でもtransient elastography(FibroScan®:FS)は脂肪肝でも高い精度が報告され,2011年10月に保険適用となってからはNAFLD診療で重用されています。また,近年ではshear wave elastography(SWE)といった,付属機器ではなく通常の超音波機器に搭載され,B-mode下で硬度測定が可能なエラストグラフィも開発され,肝硬度測定が簡便になっています。

    しかし,これらのUSEでは肝臓全体の1/500程度しか評価できないという欠点もあります。その欠点を補ったものがMRエラストグラフィ(MR elastography:MRE)です。MREは肝臓の広い範囲での硬度測定が可能であり,線維化が均一でない症例にも高い診断能を有しています。

    NAFLDを含む慢性肝疾患では,肝線維化が予後に決定的に関与します。すなわち,NAFLD診療の主軸は肝線維化診断です。先のFSやSWE,MREにより,高い精度で肝線維化を評価することが可能です。FSに関するreviewでは,NAFLDにおける線維化stage 3以上で感度85%,特異度82%と高い診断能が報告されました。一方,MREはFSよりも高い線維化診断能が報告されています。

    残り631文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top