社会保障審議会介護給付費分科会は9月14日、2021年度介護報酬改定に向けた横断的テーマとして、自立支援・重度化防止の推進について議論した。科学的介護を実現するための介護関連データベースの活用促進や、アウトカム評価に位置付けられる「ADL維持等加算」の要件見直しなどが論点になった。
科学的介護の推進にあたって、国は通所・訪問リハビリテーション関連情報を蓄積する「VISIT」と、高齢者の状態やケアの内容に関する情報を蓄積する「CHASE」の2つのデータベース(DB)を構築。17年度から稼働のVISITについては、18年度介護報酬改定時に、リハビリ計画書などの情報を提出し、次の計画策定に生かすためのフィードバックを受けた事業所を評価する「リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)」を新設した。今年度にはCHASEの運用も開始。21年度以降は両DBを一体化して運用する予定で、介護報酬上での評価を通じ、リハビリ計画書の改善を図るPDCAサイクルの中での活用を促していきたい考えだ。
ただ、「リハビリテーションマネジメント加算(IV)」の算定率は通所・訪問リハ事業所とも1%台と低く、事業所の調査では、多くがVISITへの利用者情報の入力を負担に感じていることが明らかになっている。このため厚労省は今後、VISITとCHASEのデータ入力・フィードバック機能を統合するとともに、介護記録ソフトとデータを連携することで、VISIT、CHASEへの再度のデータ入力を不要とする方針を示したが、複数の委員が地域医療介護総合確保基金による介護記録ソフトの導入支援を要望。基金の補助率について、「新型コロナウイルス感染症の影響で収支が悪化している事業所は現在の2分の1の補助率では手が出せない。補助率のアップを強くお願いしたい」(東憲太郎委員・全国老人保健施設協会会長)との意見もあった。
リハビリにおけるアウトカム評価では、ADLの維持・改善が認められた利用者が一定水準以上の通所介護事業所を評価する「ADL維持等加算」について、算定手続きの煩雑さに単位数が見合っていない(加算Iは月3単位、IIは同6単位)と、引き上げを求める意見が相次いだ。ADLの維持・改善の評価対象集団に関する要件のうち、▶評価対象利用期間の初月に要介護度が3〜5の利用者が15%以上、▶評価対象利用期間の初月時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内の者が15%以下―の2項目の緩和を求める意見も目立った。