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新型コロナウイルス肺炎の聴診所見を疑いました─職場健診で[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.50

中嶋良作 (南砺市)

登録日: 2021-01-02

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昨年4月、関東での1箇所約180人の職場健診で、午前2人、午後4人の計6人にガサガサッという大きな肺雑音を全肺野でほとんどまったく同じように認めた。

これは明らかに有意であり、同じ性状の肺雑音を有する無症候者の多発ととらえ、ここ1年世界を混乱に陥れている新型コロナウイルス肺炎を疑った。正しく恐れる心得でいたが大変緊張した。

雑音の性状が同じで6人ともワンパターンなことが不思議である。木を鉋で削るときに出るカンナ屑をかき混ぜるような、「ガサガサッ」~「カサカサッ」というかなり大きな乾いた荒い耳障りな音。6人とも前面と背面の左右上下を確認したが、すべて同じように聞こえて異様だ。肺雑音が肺全体に共鳴する感じで、異物が肺の内面に張り付いて肺内面が全体的に硬化しているイメージを抱いた。直接耳を胸壁に押し当てても衣服越しに聞こえそうだ。症状が出にくい、知らないうちに治ることが多い、スッキリ治らないことも多いなど、このウイルスの病態が腑に落ちる気がした。でも今回“不全型”がないようにみえる理由は何だろう。

新型コロナウイルス肺炎は当初から8割は無自覚に経過すると言われており、また、今は疑診段階なので、本人には事実の説明に止めて精査を勧めるコメントを記した。

帰宅後この話題に少し触れると、即“2週間の自宅自粛”に。そして2週間後に検診機関に電話確認すると、この職場にクラスター発現なしの由だった。

本「炉辺閑話」欄ではミニペーパーの類もたびたび見たので習いました。類似例に心当たりの先生はおられませんか? ただ、今回の所見はコロナと無関係の可能性はありえる。

ここ地元でも、人々は本疾患が入り込むことを恐れて互いの日常をさらに気にかける。米寿の母の介護の中2年間100件超の健診業務ができたが、コロナ禍で再開できずにいる。


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