僻地ノンフィクションライターの高野秀行さんとトークショーをさせてもらった。何冊も書評を書いてきたし、『未来国家ブータン』(集英社文庫)では解説まで仰せつかった。作品が大好きでほとんど読破しているので、お目にかかるのは2度目か3度目だが、なんだかとっても良く知っているような気がするという不思議な関係だ。
『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた〈サピエンス納豆〉』(新潮社)の刊行記念だった。この本も読売新聞に書評を書いたので、ご興味がおありの方は、ぜひ【高野×仲野×書評】で検索してみてください。
昨年の12月初めで、大阪では市の中心部の飲食店での時短が要請されており、ほとんどの店は9時で閉店。とはいえ、久しぶりにお目にかかったし、食事でもということになった。ぶらぶらしていて目に飛び込んできたのがド派手なネオン看板。キャバクラかと思ったらこれが中国料理屋さん。
大阪のミナミ、島之内と呼ばれるあたりには、やたらと中国料理のお店が多い。そのあたりに住んでいる中国人御用達だろう。味付けがふつうの中華料理と違って日本人向けではないし、店の公用語(?)も中国語なので、中国料理店と呼んでいる。
その店、メインは「鉄鍋料理」と書いてある。中国は東北地方の郷土料理らしい。とても1人で入る勇気の出そうにない店だが、高野さんが同伴だと百人力である。なんせ、『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』(文春文庫)を出しておられるくらい、文字通り何でも食べることができる人なのだから。
先客2組はおそらく中国の人で、お店のお姉さんも日本語は片言レベルと想定どおり。各テーブルには、直径50センチを超えるかという鉄鍋がしつらえてある。これはもう、鉄鍋料理を食べるしかあるまい。
せっかくなので、いちばん変わったものをということで、牛の陰茎と羊のあばら肉の鍋を注文。グツグツ煮ること半時間ほど。たちのぼる八角の香り。いただきまぁす。
で、おちんちんの味はというと、ほとんどない。そして、やたらと固いというか弾力がある。後から調べてみると、精力剤として食されるらしい。う~ん、どう考えても、こんな弾性線維みたいなもん食べても精がついたりはせんだろうに。人間の想像力というか欲望というのは恐ろしいものである。ということで、「ちん味」初経験の話でした。
なかののつぶやき
「陰茎というと海綿体である。なので、注文してから出来上がるまでの間、たぶん柔らかいんでしょうねぇなどと話していた。ところがやたらと固い。調べてみたところ、ウシの陰茎には海綿体が少なくて、線維弾性組織が主な成分らしい。どうりで固いはずやん。ヤギやブタも同じタイプで、イヌやウマは人間型だそうな。なるほど、次にチャレンジするならウマかなぁ。って、たぶんしませんけど」