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膵神経内分泌腫瘍に対する放射性核種標識ペプチド療法(PRRT)について

No.5052 (2021年02月20日発行) P.44

寺島健志 (金沢大学附属病院消化器内科特任准教授)

小林規俊 (横浜市立大学附属病院臨床腫瘍科准教授)

登録日: 2021-02-23

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  • 膵神経内分泌腫瘍に対する放射性核種標識ペプチド療法(peptide receptor radionuclide therapy:PRRT)について教えて下さい。
    横浜市立大学附属病院・小林規俊先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    寺島健志 金沢大学附属病院消化器内科特任准教授


    【回答】

     【神経内分泌腫瘍に発現しているソマトスタチン受容体を標的とした放射線リガンド療法】

    PRRTは,腫瘍に発現しているペプチド受容体を標的とした放射性リガンド療法のひとつで,ペプチドに放射性同位元素を標識し生体内に投与します。膵を含む神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)では,ソマトスタチン受容体を標的としたPRRTが,欧州では20年以上前から実臨床で施行されてきました。ソマトスタチンアナログ,放射性核種,またこれらをつなぐキレートの構造から,様々なタイプのものが使用されてきましたが,近年では,177Lutetium(Lu)-DOTATATEが広く使用されています。

    177Lu-DOTATATEによるPRRTは,切除不能中腸NETの症例を対象とした国際共同第3相試験(NETTER-1試験)によりその有用性が確認され,それまでに施行されていた複数の臨床試験の結果と併せ,切除不能膵・消化管NETに対する治療薬として2017年に欧州で,2018年に米国で承認されました1)。また,わが国においても,2017年8月より切除不能膵・消化管または肺NET患者を対象とした177Lu-DOTATATEによるPRRTの治験が実施・終了しており,その結果が待たれます。

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