健康保険組合連合会は4月22日、2021年度予算における経常赤字が5098億円に上る見通しだと発表した。赤字額は前年度比で2792億円拡大。報酬額の減少による保険料収入の減少と、前期高齢者納付金が大きく伸びたことが響いた。健保組合の財政状況は団塊の世代が後期高齢者入りする22年以降、拠出金負担の急激な増加によって悪化するとみられていたが、健保連は新型コロナウイルスの影響で「1年早く危機が到来した」としている。
経常収入は8兆1181億円(対前年度比2.7%減)、経常支出は8兆6279億円(0.6%増)。経常収支差引額は5098億円の大幅赤字となった。保険料収入が前年度比で2.6%減ったことに加え、高齢者医療制度への拠出金が3.6%伸びたことが、財政悪化に拍車をかけた。
平均標準報酬月額は37万2794円(1.3%減)、平均標準賞与額は104万1513円(7.2%減)と、いずれも前年度から減少した。平均保険料率は9.23%、収支均衡に必要な財源を補うための実質保険料率は過去最高の10.06%となった。協会けんぽの平均保険料率(10.0%)以上の組合は297組合あり、データ報告をした1330組合の22.3%に及ぶ。
全体で3.6%増えた拠出金の中でも、最も顕著な伸びを示したのが、前期高齢者納付金で前年度比6.5%増の1兆6467億円となった。法定給付費を含む義務的経費に占める拠出金負担割合は46.6%(1.3ポイント上昇)。データ報告組合の26.2%で拠出金負担割合が5割を超えた。
赤字組合に該当したのは、組合全体の77.9%に相当する1080組合(169組合増)。健保連によると、新型コロナの影響を受けた特定の業種(宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業など)で、標準報酬月額、標準賞与額および経常収支差引額が著しく悪化した。