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【一週一話】小児科領域の性感染症

No.4737 (2015年02月07日発行) P.49

堀越裕歩 (東京都立小児総合医療センター感染症科医長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-09

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  • 数日前からの右季肋部痛が増悪した12歳の女児。持続性の鋭い痛みで,深呼吸で増悪する。呼吸器症状,消化器症状,排尿時痛はない。不特定多数の男性と性交渉を伴う援助交際をしており,コンドームは使用していなかった。性感染症を疑い産婦人科に診察を依頼した。腟分泌物PCRでクラミジアが陽性,淋菌は陰性であった。血液検査は,梅毒RPR法,梅毒TPLA法が陰性,HIV抗体,HBs抗原,HCV抗体も陰性であった。Fitz-Hugh-Curtis症候群,骨盤内炎症性疾患の診断で入院となり,アジスロマイシン,セフトリアキソン,メトロニダゾールで治療開始とし,2週間で終了とした。退院後は児童相談所も介入し,児童精神科のフォローとなった。

    性感染症であるクラミジア感染の骨盤内炎症性疾患に,肝臓周囲の炎症による右季肋部や,上腹部の痛みを伴うFitz-Hugh-Curtis症候群を合併することがある。詳細なメカニズムは不明であるが,微生物による直接浸潤と免疫学的な応答が原因と考えられている。肝酵素値は上がらないことが多い。主に性器クラミジア感染があって症状があれば,臨床診断する。

    小児科医が診る性感染症は,性感染症の妊婦から生まれてきた新生児への対応というケースが多い。性感染症の垂直感染で代表的なものとして,クラミジア,梅毒,HIV,B型肝炎などがある。妊婦の診断がついていることが多く,予防や治療も標準的な方法が確立されているため,あまり困らないことが多い。

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