No.4739 (2015年02月21日発行) P.53
勝見 敦 (武蔵野赤十字病院救命救急センター部長/日本赤十字社災害医療コーディネーター)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-03-09
災害医療コーディネートの目的は災害時,混乱した医療体制を調整し速やかに復旧することにある。わが国で初めての災害医療コーディネーター制度は,阪神・淡路大震災の教訓をもとに1997年に兵庫県で導入され,災害拠点病院の医師が任命された。新潟県では新潟県中越地震(2004年)後,2006年に各保健所長を災害医療コーディネーターに任命し,翌年に発生した新潟県中越沖地震では,医療ミーティングの開催,医療チーム派遣,他機関との調整など重要な災害医療のかじ取りを災害医療コーディネーターが中心となり行った。
宮城県沖地震発生予測(2011年1月発表)が10年以内に70%程度と高まった宮城県では,東日本大震災が発生する直前の2011年2月に災害医療コーディネーター制度を設置した。東日本大震災では,甚大な被害によって広域にかつ,長期間にわたって地域医療体制の機能が麻痺し,行政機能も低下した状況下において,被災地域医療の窓口としてこの災害医療コーディネーターが大きな役割を果たした。
東日本大震災後,厚生労働省は東日本大震災での災害医療活動の検証を行い,災害時に円滑な医療を実施するためのコーディネート機能を発揮できるよう体制を整備すべし,という通知を出した(医政発0321第2号,平成24年3月21日)。この流れを受けて,各都道府県で災害医療コーディネーター制度の設置が進むことになった。現時点ではまだ未整備の県もあるが,今後は全国に設置されるものと考えられる。
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