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新規臨床診断・治療法開発に向けての異分野研究者との連携協働の重要性[プラタナス]

No.5077 (2021年08月14日発行) P.3

神保孝一 (札幌医科大学名誉教授/皮膚病総合医学研究所所長)

登録日: 2021-08-14

最終更新日: 2021-08-10

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  • 私は治療の困難な黒色腫(メラノーマ)の臨床医と研究者としての道を一貫して歩んできた。

    院生時代のテーマは「慢性湿疹などに併発する領域リンパ節内黒色色素」である。私は電子顕微鏡(EM)を用い、黒色色素は皮膚メラニン産生細胞メラノサイト由来の黒色顆粒(メラノソーム)が領域リンパ節内に取り込まれ消化崩壊をたどる産物であることを臨床的に仮定し、メラノソームを単離し皮膚に注入し実験的に証明した。その際、メラノソームには従来の報告にない小空胞球面体が存在することに気づいた。この所見を皮膚科研究会で報告したところ、座長から、「私が報告した小構造体はメラノソーム生合成と関係なく、メラノソームがEM下で観察されるときに生ずるartifactである」と強く反論された。

    しかし、私は同一所見が、透過型、走査型、超高圧EM下でヒト、マウスの黒色毛さらに黒色腫より単離精製したメラノソームにも存在し、メラノソーム表面と外膜直下に存在することを確認し、日米色素細胞会議で報告した。

    ハーバード大学皮膚科フィッツパトリック教授はこの報告に関心を示し、翌年から同教授のもとに留学し、メラニン・メラノーマの研究を生涯継続する機縁となった。現在、この構造体はメラニン形成酵素であるチロシナーゼなどがメラノソームに小胞輸送される際に必要なキャリアーであるとされている。

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