脈圧亢進症は単一の症候ではなく,門脈血行異常症や肝硬変などによる門脈圧上昇に伴う食道・胃静脈瘤破裂や腹水,肝性脳症,脾腫に伴う貧血や出血斑(血小板減少症)など多彩な症候であり,門脈血栓の出現は上述の症状を増悪させる。門脈圧亢進は肝内・門脈本幹から肝外に進展し,腹腔内にとどまらず,胸腔内にも症状を及ぼす。また近年,化学療法(オキサリプラチンなど)後の肝類洞閉塞症候群(SOS)や,肝臓癌分子標的治療薬投与中の高アンモニア血症や,時に肝性脳症という新たな病態も指摘されている。
上部消化管内視鏡検査で肝硬変の7割に存在が認められる。肝機能正常で存在すれば,門脈血行異常症〔非硬変性門脈圧亢進症(NCPH)〕である。
出血源精査として上・下部消化管内視鏡検査を施行し,十二指腸,回・結腸,直腸,肛門などの出血点を同定する。しかし,治療直前には可能な限り造影CTの施行が望ましい。
触診,腹部超音波検査にて少量か中等量か,内部エコーの有無を確認する。
失見当識,羽ばたき振戦および高アンモニア血症では,造影CT・MRAにて肝外シャントの有無を検索する。
白血球,血小板数の推移を鑑みる。また,超音波,CTで脾腫の有無を確認する(「脾腫」の稿参照)。
急激な腹水・胸水の増加や発熱を伴う場合は,超音波検査(B-MODE,カラードプラ),造影CTを行う。
FIB4-Index,M2BPGi,Autotaxinを検索する。
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