No.4757 (2015年06月27日発行) P.15
二木 立 (日本福祉大学学長)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-02-15
6月15日、政府の社会保障制度改革推進本部「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」(会長=永井良三自治医科大学学長)は「第1次報告─医療機能別病床数の推計及び地域医療構想の策定に当たって」(以下、「第1次報告」)をまとめました。翌日の新聞各紙は「第1次報告」について、2025年までに「入院ベッド1割削減」「病床、最大20万削減」等と大きく報じ、病院関係者の不安を増幅させました。そこで、本稿では、「第1次報告」と、本連載㊸(6月13日号)で取り上げた「地域医療構想策定ガイドライン」(以下、「ガイドライン」)との異同を検討し、改めて、病院病床の大幅削減は生じないと私が考える理由を述べます。
「第1次報告」の一番の特色(目玉)は、「2025年の医療機能別必要病床数」を「目指すべき姿」として示したことです。今後「在宅医療等」での対応が必要になる患者数も示しました(21頁)。それに対して「ガイドライン」は、療養病床(慢性期病床)の削減の必要は指摘しましたが、具体的数値は示しませんでしたし、高度急性期・急性期病床については削減の必要にすら触れていません。逆に、「[高度急性期・急性期・回復期の]2025年の医療需要の推計方法」(計算式)は現状投影(追認)的でした。
具体的には、「第1次報告」は、2025年の必要病床数を高度急性期13.0万床、急性期40.1万床、回復期37.5万床、慢性期24.2〜28.5万床、合計115〜119万床としました(「程度」は略)。これらは、「病床機能報告」による昨年7月時点の病床数、高度急性期19.1万床、急性期58.1万床、慢性期35.2万床より約30%も少ない反面、回復期のみは3.41倍も多くなっています。「病床機能報告」には未報告・未集計病床が11.3万床あるため、回復期病床以外の実際の削減幅はさらに大きくなります。
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