【質問者】
工藤 篤 東京医科歯科大学病院肝胆膵外科 病院長補佐,病院教授
【遺伝性膵炎,特発性膵炎では複数の遺伝子変異が同定されている】
新しい慢性膵炎の定義としてmechanistic definitionが2016年に国際的に提唱され,慢性膵炎は遺伝的因子,環境因子,その他の危険因子を有する患者において,膵実質の傷害やストレスに対して持続的に病的な反応が起こる膵の病的線維化炎症症候群と定義されました。
遺伝性膵炎の原因遺伝子としてcationic trypsinogen遺伝子(PRSS1)の変異が最初に報告され,膵分泌性トリプシンインヒビター遺伝子(SPI NK1),cystic fibrosis transmembrane conductance regulator遺伝子(CFTR),anionic trypsinogen遺伝子(PRSS2),chymotrypsinogen C遺伝子(CTRC),carboxypeptidase A1遺伝子(CPA1),claudin 2遺伝子(CLDN2),transient receptor potential channel(TRPV6)など,様々な膵炎関連遺伝子異常が同定されています。わが国の遺伝性膵炎全国調査では,遺伝性膵炎73家系のうちPRSS1遺伝子変異を30家系(41.1%)に,SPINK1遺伝子変異を26家系(35.6%)に認めています。
残り517文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する