株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

距骨骨軟骨損傷[私の治療]

No.5089 (2021年11月06日発行) P.42

吉村一朗 (福岡大学医学部整形外科学教室准教授)

登録日: 2021-11-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 距骨骨軟骨損傷は,かつては距骨離断性骨軟骨炎と呼ばれていた。現在は距骨骨軟骨損傷もしくは距骨骨軟骨障害と呼ばれている。距骨骨軟骨損傷の発生原因として外傷との関連性が挙げられているが,中には明らかな外傷歴のない例が存在し,遺伝的素因,血流障害,解剖学的要因なども原因として考えられている。

    ▶診断のポイント

    好発年齢は若年者から高齢者と幅広い。本疾患に特異的な臨床症状・所見はないが,運動時もしくは安静時の鈍い足関節痛を訴えることが多い。病変に不安定性がある場合は足関節のひっかかり感を訴えることもある。最好発部位は距骨滑車内側で,ついで距骨滑車外側である。距骨の関節面はドーム形状であり,脛骨と腓骨で囲まれているために単純X線では病変が把握しにくい。本疾患が疑われた場合は積極的にMRIやCTなどを撮影することを推奨する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    若年者の場合は保存療法(スポーツ中止,ギプス・シーネ・サポーターなどの外固定)を3~6カ月間行うことが多いが,成功率は決して高くない。原則として保存療法の期間は3カ月程度とし,漫然と保存療法を続けることは避けるべきである。MRI画像において軟骨下骨の浮腫像,囊胞性病変が存在する場合は保存療法が無効な場合が多い。

    手術手技は多数存在する。患者の特徴と社会的状況,また病変の特徴を十分に把握した上で,各症例に応じて手術手技の選択を行う。病変の特徴を把握する上で必要な画像検査は単純X線,MRI,CTである。MRI画像では病変の軟骨の評価,病変の骨の評価,病変と母床間のhigh signal rim(MRI T2強調像,脂肪抑制像などでみられる病変直下の高信号域)の有無,軟骨下骨の浮腫の有無を評価する。CTでは病変内の骨の評価,軟骨下骨の骨硬化・囊胞形成の有無,病変のサイズ計測(長径,横径,深さ)を行う。偶然,画像検査で病変が見つかった場合(無症状)は経過観察とする。

    残り1,536文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top