株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

『キッパリ!』[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(379)]

No.5090 (2021年11月13日発行) P.67

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2021-11-10

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

少し前になるが、読書委員を務めている読売新聞で、「読書委員夏の一冊」として「心や体がスッとする『健やか』になる本」という特集企画があった。そこで選んだのが上大岡トメさんの『キッパリ!』である。

「ラジオ体操をする」、「夜空を見上げる」、などなど、小さな生活習慣を変えてみましょうという60個の提案が書かれている。ベストセラーになった10年以上前の本だ。

「煽り系」書評家としては、書評で取り上げた本がどれくらい売れるかがとても気になる。なので、毎回、Amazonでの順位をチェックしている。この本、ごく短い紹介だったのに二桁まで上昇した。フルの書評でも、なかなかそこまで上がることは珍しい。

編集者の方からすぐに連絡があって、増刷することになったから、新聞での紹介文を帯に使わせてもらっていいかとのこと。さすが幻冬舎、仕事が早い。もちろんオッケーしてできたのが写真の帯である。

「生涯でいちばん大きな影響を受けた本です」などというのは大げさではないかと思われるかもしれないが、本当なのだ。

初版が出た頃、50歳を前にして、ちょっと黄昏れ気分になっていた。医学的にはおかしいけれど「男の更年期」みたいな感じかもしれない。教授になって10年以上がたち、仕事はかなり順調だった。だが、それだけに、完全に新しいことに手を出す気がしない。もう新しい友人もそれほど増えそうにない。その頃の口癖は「何か面白いことない?」だった。このままだらだらといくしかないのかという時に出会ったのがこの本だ。

60個全部を変えるのは難しいし、小さな生活習慣をひとつ変えたところで、どうということはない。しかし、ラジオ体操をはじめいくつかやってみたところで気がついた。変われないと思い込んでいたから変われなかっただけで、変わろうと思えばいくらでも変われるんや、ということに。

そうなってから、自分でも驚くほどチャレンジングになった。この本に出会えてなかったら、義太夫も始めてなかったろうし、この連載も引き受けていなかったかと思う。

いわば、上大岡さんは人生の恩人である。その恩人とのトークショーを企画していただいた。ネットなので直接お目にかかれないけれど、むちゃくちゃうれしい。興味ある方は【幻冬舎×上大岡×仲野】で検索して、ぜひ覗いてみてください!11月17日です。

なかののつぶやき
「130万部も売れているとは知りませんでした。まだの方はぜひ!本当に人生を変えるポテンシャルを与えてくれる本です。気になる方はぜひ読んでみてください」

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

page top