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新しい生活習慣[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(380)]

No.5091 (2021年11月20日発行) P.66

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2021-11-17

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前回は新しい生活習慣による大いなる波及効果について書いた。はて、生活習慣を身につけるにはどれくらいの期間がかかるだろうか。検索してみると、2009年に発表されたロンドン大学の研究が有名らしい。

それによると、平均66日になっている。後におこなわれた別の研究では、6週間目あたりが分かれ目だということだ。さらに、思考の習慣化には半年くらいかかると書かれているものもある。個人差もあるだろうが、なんとなくわかるような気がする。

自らの経験からわかった、いちばん大事なことは、なにしろあきらめないことだ。あっちゃ~、続けてサボってしもたわと思っても、三日坊主やったなぁと放り出してはいけない。そこで気を取り直して、多少のブランクなど気にせず再開すればいいのである。

おそろしいもので、一旦習慣化してしまうと、それなしでは気持ち悪くなる。なので、悪い習慣は身につけないほうがいい。どうしてもやめられない長年の習慣は、朝食の時に新聞を読むことだ。一方で、新しい習慣が身につくのは、ある種の快感を伴う。それがわかっているので、時々、発作のように、次の習慣を探して身につけたくなる。

現在、習慣化を試みている最中のものがある。それは瞑想だ。以前から興味があった。きっかけは『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリである。その著書『21 Les-sons』(いずれも河出書房新社)では、1日2時間も瞑想していると書いてあって、瞑想を勧めている。ひょっとして、瞑想を続けたら、ハラリみたいに思考力が身について、むっちゃ賢くなれるんとちゃうん。

そんな甘いものではなかろうが、瞑想入門の本を買って始めてみた。主観的には非常によろしい。夜寝る前にやるとぐっすり眠れるような気がするし、朝にやると集中力が向上するような気がする。あくまでも「気がする」だけなので、ちゃんとした瞑想ができている訳ではなくて、瞑想(みたいなもの)をしたことによるプラセボ効果かもしれない。まぁ、それでもよろしいがな。

基本的には、リラックスしてゆっくりと呼吸をしながら、頭の中を空っぽにする。なんとなく前頭葉あたりが普段と違うような感じがしてくる(←個人のイメージです)。朝と夜に半時間弱程度なのだが、ひょっとしたらそのうちに素晴らしい効果がでてくるのではないかと密かに期待している。

なかののつぶやき
「朝晩の瞑想を合わせて小一時間なので、けっこう時間をとります。そんな時間はもったいないかと思ってたのですが、始めてみたら、それくらいの元は取れるような気がします。熟睡感と集中力だけでなく、なんとなく、心が穏やかになったみたいですし。本当に瞑想によるものか、瞑想をしているからそうに違いないという思い込みによるものかはわかりませんが、別に後者でもかまいませんわな」

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