中央社会保険医療協議会総会は11月12日、外来機能分化の推進について議論した。紹介外来などを主とする「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関(重点外来基幹病院)」については、地域医療支援病院の「地域医療支援病院入院診療加算」を参考に、入院機能を評価する方向が示された。
この日は、①重点外来基幹病院の評価、②大病院外来受診時定額負担の保険給付範囲からの控除額・追加負担額と定額負担徴収の除外要件の見直し、③紹介・逆紹介の推進―の主に3項目を議論した。
①について厚生労働省は、今後、「医療資源を重点的に活用する外来(重点外来)」を中心に外来機能の分化・連携が進めば、重点外来基幹病院では一般外来の負担が減る代わりに、入院機能が強化されることになると説明。そのため、診療報酬では強化される入院機能を評価する方針を打ち出し、参考例として地域医療支援病院の「地域医療支援病院入院診療加算」を挙げた。
診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、この提案に賛同した上で、「地域医療支援病院入院診療加算との整合性や、病院によって異なる入院・外来比率に配慮した設定の検討が必要だ」と指摘。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「重点外来基幹病院に求められる機能を踏まえれば、紹介率・逆紹介率の基準を検討するべきではないか」との考えを示した。
②では定額負担の徴収義務化対象を一般病床200床以上の重点外来基幹病院に拡大することや、定額負担額の引き上げがすでに決まっている。定額負担額は、保険給付範囲から一定額を控除した上で、控除額と同等以上の額を現在の負担額に上乗せする方法で増額。金額設定については、初・再診時に少なくとも生じる額として、初診の場合は2000円程度を目安に検討することになっている。
厚労省はこの「少なくとも生じる額」が、初診は214点(2140円)、再診は55点(550円)になることを総会に提示した。保険給付範囲からの除外額・追加額について各側の意見は、初診は2000円程度、再診は500円程度とするのが妥当との認識で概ね一致。その場合の引き上げ後の定額負担額は、初診が7000円程度、再診が3000円程度となる。
一方、定額負担徴収の除外要件については現在、徴収を認められない患者および、徴収を求めなくてよい患者の全15類型が定められている(初・再診共通)。再診は初診に比べて定額負担による受診抑制効果は低く、除外要件の「医療機関が直接受診する必要性を認めた患者」などに該当するとして定額負担を徴収していない患者の割合も高いことから、除外要件の見直しを求める声が出ている。
ただ、地域の医療事情によっては、定額負担徴収医療機関を受診し続けなければならないケースも想定される。このため診療側の城守委員は、「他の医療機関を受診できる環境にない場合についての配慮が必要だ」と慎重な検討を要請。支払側の松本委員は、該当割合が高い、「医療機関が直接受診する必要性を認めた患者」の整理が必要だとし、予約診療の患者を外すことを求めた。