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【私の一本】『ラストサムライ』

No.4814 (2016年07月30日発行) P.77

荒川哲男 (大阪市立大学学長 理事長)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-23

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  • 幕末の時代、近代化を望む政府の要請を受け、日本に招かれた南北戦争の英雄が、侍との戦に敗れ、捕らえられるが、侍達と過ごしていく中で、しだいに武士道に心酔していく(DVD:ワーナー・ホーム・ビデオ、2004年発売)

    私のこころのバイブル

    私は映画が大好きで、気に入った映画を挙げればきりがない。幼少の頃「お父さんには内緒やで」と口止めされて、母に何度も連れて行かれた近くの映画館。それは、私をひとりで家に置いておけないからで、私に映画を見せるためではなかった。

    母はイタリア映画やフランス映画が好きで、いつもハンカチを濡らしていた。白黒で「鉄道員」とか「道」、「自転車泥棒」、「禁じられた遊び」などを一緒に見させられてきた。そんな経験が、私を映画好きにさせたのだろう。

    「ラスト サムライ」を最初に観たのは、封切りの映画館。確か、2003年の年の瀬だったような気がする。観終わって、しばらく席を立てなかったことを覚えている。目を赤くし、潤ませていたことだけがその理由ではない。これこそ「大和魂」だ、と身体の中から全身が震えていた。以来、繰り返し7回観たが、同じ感動を味わっている。

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