IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4 related sclerosing cholangitis:IgG4-SC)は,自己免疫性膵炎(AIP)と密接な関係があり,AIPの90%以上にIgG4-SCを合併する1)。胆管外病変として,涙腺・唾液腺炎,後腹膜線維症などを合併するIgG4関連疾患(IgG4-related disease)の一形態である。しばしばIgG4-SCは原発性硬化性胆管炎,特に肝門部領域胆管癌と鑑別困難なことがある。
2019年のIgG4-SCの診療ガイドライン2)に沿って診断する。典型例では無痛性の胆道閉塞を呈し,黄疸は必発ではないが,多くは血清IgG4値の上昇(≧135mg/dL)を伴う。MRCP・ERCPで特徴的な硬化性胆管炎を呈する。多くはAIPを合併するため,特徴的な膵腫大所見が有効な手がかりとなる。
IgG4-SCはAIP同様,ステロイド投与が有効である。寛解導入後,再燃(20~40%)抑制のため3年間程度の維持療法が推奨される。これは5mg/日以上で行われ,多くは5.0~7.5mg/日で安定した維持療法が可能となる2)。長期間のステロイド投与を要するため,糖尿病増悪・発症,骨粗鬆症・骨折などの副作用に注意が必要である。
胆道閉塞については,胆道ドレナージが推奨されている。ステロイド治療抵抗例や繰り返す再燃例では,免疫調節薬,抗CD20抗体(リツキシマブ)の有用性が報告されている。しかしわが国では保険外診療となる。
無症候性のIgG4-SCはAIP同様,胆道病変が非可逆性となり慢性化することも想定される。肝・胆道機能温存の観点からは,無症候性でもステロイド投与が容認されうると考える。
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