ウエスト症候群は,①てんかん性スパズムと②ヒプスアリスミア,③発達遅滞・退行を伴うてんかん症候群である。原因は,基礎疾患(脳形成異常,結節性硬化症など)を有する症候性と原因がはっきりしない潜因性がある。発症の多くは1歳未満,発生頻度は,1万出生に対して3~5人である。
上記①②③,この3つがポイント。必ずしも3つそろわなくてもよい。
スパズム:頸部・体幹・四肢を両側(非)対称性にごく短く屈曲/進展する動きで,最初は頸部と上肢が多い。数秒~数十秒間隔で10~20回くらい反復(シリーズ形成)する。時に啼泣を伴い,入眠期・寝起きに多い。
発達遅滞:発症後は発達遅滞・退行を認める。
非発作時はヒプスアリスミア*である。non-REM期に多いが,覚醒時に認めることもある。発作時は,速波群発,徐波複合,低振幅化などがある。
* 高振幅徐波を背景とし,多焦点性の棘波が不規則に混在する脳波(図)のこと。
血液・尿検査など:血算,一般生化学(電解質・アンモニアなど),乳酸・ピルビン酸,アミノ酸分析,有機酸分析,染色体検査など
頭部MRI・心臓超音波検査(結節性硬化症が疑われる場合)
早期に,発作消失,脳波異常を正常化させることによる,神経発達遅延の改善を治療目的とする。
抗てんかん薬,ビタミンB6の効果が不十分な場合は,増量にあまり時間をかけず,禁忌がない限り速やかに副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)療法を考慮する。
ACTH療法は最も有効な治療1)で,発症後早期に開始する(1カ月以内が望ましい)。ただし,ACTH療法の副作用を考慮して,ある程度の検査結果が出るまで,他の薬物療法を先に試してもよい。
ACTH療法の副作用を考慮して,治療前に基礎疾患を精査することが望ましい。結節性硬化症の心内腫瘍があるときは控えたほうがよいが,施行を検討する場合は,必ず循環器専門医と相談する。
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