1 造影剤の種類と副作用
■造影剤の種類
・ヨード造影剤(CTや血管造影などに用いる)
・ガドリニウム造影剤(MRIに用いる)
・ペルフルブタン(超音波検査に用いる)
■造影剤の副作用
・急性副作用/アナフィラキシー
・遅発性副作用
・造影剤腎症
・造影剤脳症
・腎性全身性線維症
2 造影剤の急性副作用:アナフィラキシー
■アナフィラキシーとは?
・アナフィラキシーは,造影剤投与後通常5~30分以内に発生する。
・発疹や紅潮などの皮膚粘膜症状,呼吸困難や喘鳴・嗄声などの呼吸器症状,血圧低下や失神,不整脈の出現などの循環器症状などはアレルギーによる症状と考えられる。
・その頻度は,ヨード造影剤では0.6~3.1%,ガドリニウム造影剤では0.04~2.4%である。
■アナフィラキシーを発症したら
【初期対応】
① バイタルサインの確認
② 助けを呼ぶ(救急隊またはRRS)
③ アドレナリンの筋肉注射➡0.01mg/kg(最大量:成人0.5mg,小児0.3mg)
④ 患者を仰臥位にする
⑤ 酸素投与
⑥ 静脈ルートの確保
⑦ 心肺蘇生
⑧ バイタル測定(頻回かつ定期的に血圧,脈拍,呼吸状態,酸素化を評価)
3 造影剤腎症
■造影剤腎症とは?
ヨード造影剤による腎障害のことで,ヨード造影剤投与後,72時間以内に血清クレアチニン(SCr)値が前値より0.5mg/dL以上または25%以上増加し,造影剤以外の原因(コレステロール塞栓など)が除外される場合に診断される。
■造影剤腎症リスク患者ではどのような予防策をとるべきか?
・造影剤投与前に発症リスクの評価をする(SCr値の上昇,CKD,糖尿病性腎症,脱水,うっ血性心不全,高齢,腎毒性物質など)
・診断の質を落とさない範囲での造影剤使用量の減量
・0.9%食塩水(生理食塩水)の経静脈投与
●造影剤副作用の参考ガイドライン
・アナフィラキシーガイドライン(日本アレルギー学会)
・重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー(厚生労働省)
・腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2018(日本腎臓学会,他)
※ガイドラインの詳細は本稿の最終ページ(P30)参照のこと。
伝えたいこと
造影剤は治療を主目的としない医薬品,診断用薬である。造影剤使用の安全についての知識は現在でも日々変化しており,適正な造影剤の選択と使用,また,造影剤投与の危険因子,予防法,副作用発症時の対処法などを熟知して使用することが望まれる。