症例は31歳の女性で、22歳頃からの頻尿と排尿困難で前医泌尿器科を受診していた。平均1回排尿量が100mLと少なく、尿流測定で腹圧排尿を認め、たまに蓄尿時痛があることから、何故か間質性膀胱炎が疑われ局所麻酔下膀胱水圧拡張術が行われた。700mLも拡張されたが点状出血があったため、間質性膀胱炎軽症(現在なら膀胱痛症候群?)と診断された。頻尿はやや改善したものの排尿困難が改善せず、各種薬物およびブジー(尿道拡張)まで行われたが改善はなかった。腰椎MRIでは異常なし、椎間板ヘルニアなしであった。
約2年経過後、治療に難渋する症例として当科に紹介された。症状は明らかに間質性膀胱炎とは異なっていた。再度排尿日誌を行い、1回排尿量60~190mL、1日排尿回数6~7回で頻尿はなかった。尿流測定で排尿量114mL、残尿量100mL、最大尿流量は9mL/secと低く、尿流波形は腹圧排尿による間歇的波形であった。問診では排尿困難に加え腹圧性尿失禁もあり、便秘もあった。足に力が入らないことはないか尋ねると、日常生活ではまったく不自由はなく走ることもできるが、大学の部活の新体操で、ある時から右足でボールを正確に受けることが難しくなり、左足だけでやっていたとの話を聞き出せた。
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