政府は6月17日、首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、「内閣感染症危機管理庁」の設置や「日本版CDC」の創設などを盛り込んだ『次の感染症危機に備えるための対応の方向性』を決定した。これに先立って岸田文雄首相は15日に開いた記者会見で、内閣感染症危機管理庁などを設置する考えを表明し、「有事においては、物資調達や広報等に当たる各省庁の職員を内閣感染症危機管理庁の指揮下に置き、首相のリーダーシップの下、一元的に感染症対策を行っていく」と司令塔機能の強化に強い意欲を示した。
『対応の方向性』は、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議(座長:永井良三自治医大学長)が15日に取りまとめた「次の感染症危機に向けた中長期的な課題」で「首相が司令塔となって行政各部を指揮命令し一元的に感染症対策を行う体制を強化する」などの提言がなされたのを受け、決定したもの。
内閣感染症危機管理庁は、首相の指揮命令を徹底するため内閣官房に設置。CDC(米疾病対策センター)をモデルとする日本版CDCは、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合により、「感染症に関する科学的知見の基盤・拠点となる専門家組織」として厚生労働省の下に創設する。
併せて、厚労省の感染症対応能力を強化するため、各局にまたがる関係課室を統合し、日本版CDCを管理する組織として「感染症対策部」を設置する。
新たな体制では、有事の際、内閣感染症危機管理庁の下で首相(政府対策本部長)の指示を行政各部に徹底し、日本版CDCとも連携しつつ一元的に感染症対策を行うことになる。
『対応の方向性』は、2021年11月に政府が取りまとめた「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」をベースに保健・医療提供体制の方向性も盛り込み、新興感染症に対応する病床等確保のため都道府県と医療機関が締結する「協定」の法定化など、必要な法改正を進めるとしている。
17日の対策本部で岸田首相は「『対応の方向性』に盛り込まれた政策を詳細に検討し、順次成案を得て、法律上の手当てが必要なものについては法律案の準備を進める」よう関係閣僚に指示した。
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