厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」は7月20日、「かかりつけ医機能」に関する議論を開始した。かかりつけ医機能は外来医療計画において地域での協議が必要な法定事項とはなっていないものの、関連が深い内容であるため、同検討会で議論することになった。8月までの一巡目の議論では、関係者へのヒアリングも交えながら実態確認と課題の洗い出しを実施。秋以降に再開する二巡目の議論で、これら課題への対応策を検討する。
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、初期診療を担う、かかりつけ医への国民の関心や期待感は高まっている。今秋以降は外来機能報告や「紹介受診重点医療機関(重点医療機関)」を選定するための地域の協議など、かかりつけ医機能を担う医療機関と紹介外来を主とする医療機関の機能分化と連携を推進するための取組も本格化する。このため政府の全世代型社会保障構築会議の中間整理や骨太の方針2022は、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」を提言。財務省の財政制度等審議会はさらに踏み込んだ提案として、「かかりつけ医の事前登録制」の導入を求めている。
この日の検討会で厚労省は、かかりつけ医機能の論点として、▶コロナ禍における課題にどのようなものがあるか、▶なぜかかりつけ医機能の強化が必要なのか、▶現状のかかりつけ医機能の課題をどのように考えるか─の3項目を提示。医療関係者の構成員からは、かかりつけ医機能を個々の医師が1人で担うのには限界があるため、地域の連携体制構築が重要だとする意見が出る一方、保険者の構成員からは、かかりつけ医機能やかかりつけ医機能を担う医療機関を明確化するための制度的対応が不可欠だとする意見が出た。
この日は、次期外来医療計画の関連テーマとして、重点医療機関の明確化を踏まえた今後の外来医療の提供体制や、外来医療の見える化も議論。厚労省は、▶次期外来医療計画の記載項目に「医療資源を重点的に活用する外来」の実施状況等の情報を追加する、▶外来機能報告のデータを病院機能報告と同様にオープンデータとして公表する─ことなどを今後の検討課題として提示した。