SUMMARY
いまや疫学的には気管支喘息と同程度にコモンな疾患である発達障害。その子の成長発達の経過や,家庭環境もある程度知る家庭医だからこそできる発達障害診療がある。診断より相談。子育て支援がすべてに通ずるのである。
KEYWORD
ペアレント・トレーニング
1960年代から米国で発展してきた。親の褒め方や指示の出し方を一連のセッションにて学ぶもので,親の療育スキル向上やストレス低減,子どもの行動改善や発達促進が期待できる。すべての子育てに利用できる。
PROFILE
亀田総合病院で内科小児科複合プログラムの1期生として研修後,頴田病院で家庭医研修プログラムの指導医。2021年より現クリニックを継承し,院長に。プライマリ・ケア認定医,小児科専門医,総合内科専門医,在宅専門医,経営学修士MBA(グロービス)。
POLICY・座右の銘
我に七難八苦を与えよ
子どもの診療をしていると,診察台に登って飛び跳ねる子や,待合室で走り回る子どもを怒っている親を見かけることはないだろうか。既に自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)や注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:AD/HD)と診断されているらしい子どもの診療では,何か気をつけないといけないことがあるだろうか。「ASDは100人診ないとわからない」という至言があるほど,いくら教科書で読んでもわかった気にしかならず,理解するには悩みながらの臨床経験が必要である。
今回から5回にわたる「子どもの発達障害」のシリーズでは,もしかしたら発達障害かもしれない,というアンテナの感度を上げ,日常診療でプライマリ・ケア医が少しでも「子どもの発達障害」の診療を担うためのとっかかりにしてもらいたい。