文部科学省により,病気や経済的な理由以外の何らかの身体的,心理社会的な要因・背景で,年間30日以上欠席した状態として定義されており,DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版),ICD-10(国際疾病分類第10版)などで定められる診断名ではない。
2021年度(令和2年度)の文部科学省の調査では,不登校に該当する児童は,全国の国公私立の小学校で6万3350人(全体の1.0%),中学校は13万2777人(全体の4.1%),合わせて19万6127人(全体の2.0%)で,過去5年間の傾向として,その数および割合は増加傾向にある1)。
不登校を満たす欠席日数は年間30日であるが,日数に重きがあるのではなく,登校できていない状況についての評価が重要である。子どもには,登校が困難になったタイミング,きっかけ,現状に対しての思い,現状の過ごし方,再登校に対しての思い,などを確認する。養育者には,子どもの現状への関わり,現状に対しての思い,学校との連携の状態などを確認する。
文部科学省での小・中学生への調査では,不登校の要因は,先生や同級生との対人関係,いじめ,学習面の困難さ,身体の不調,生活リズムの乱れ,親子関係や家庭環境の問題,など多岐にわたる1)。
不登校を,単一的もしくは複合的な要因により,学校生活への不適応をきたしている状態としてとらえ,「生物的要因」「心理的要因」「社会的要因」からそれぞれの症例をひもといて対応を検討していく必要がある。
近年の研究では,自閉スペクトラム症,注意欠如・多動症,限局性学習症の特性がある子どもの不登校割合の高さが指摘されており,発達特性にも目を向けた評価・対応が求められている2)。
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