厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」は8月25日、医師以外の医療従事者の確保について意見交換した。このうち看護職員については訪問看護に従事する人員の確保などが、薬剤師については病院薬剤師の確保が課題として示された。
看護職員の需給の状況は、都道府県や二次医療圏によって大きく異なり、地域の課題に応じた対応が求められている。中でも問題視されているのが、人口の高齢化に伴う需要の高まりが確実視されている訪問看護に従事する看護職員の確保。将来の需給予測では、看護職員の総数では需要を満たせていても、訪問看護に従事する人員は不足する都道府県や二次医療圏の発生が見込まれている。
新興感染症の拡大時の体制整備や医師からのタスクシフト/シェアを推進する観点では、特定行為研修修了者などの高い専門性を有する看護師の確保も大きな課題。現行の第7次医療計画の作成指針では、特定行為研修の研修体制に関する整備計画を可能な限り具体的に記載することが求められているが、必須ではないこともあり、記載のない都道府県が全体の2割に及ぶ。
このため厚労省は、▶都道府県において、今後の都道府県・二次医療圏ごとの訪問看護事業所数・看護職員数を見込み、必要なサービス・看護職員を確保するための方策を定めることを必須とする、▶都道府県において、特定行為研修に関する研修体制整備に向けた計画の策定を必須とするとともに、都道府県・二次医療圏ごとに、特定行為研修修了者等の専門性の高い看護師の養成数の目標を設定する―ことを見直しの論点に位置づけた。
一方、薬剤師の総数は年々増加しているが、その就労先では地域や業態による偏在が顕在化している。特に病院薬剤師の確保が喫緊の課題であることから、厚労省は、▶次期「医療計画作成指針」では、現行の薬剤師の資質向上に関する記載だけでなく、薬剤師確保についても明確に記載する、▶病院薬剤師の不足や無薬局町村等を解消する必要があり、病棟薬剤業務やチーム医療、在宅医療等の推進のためにも、病院と薬局それぞれにおいて、薬剤師の就労状況を把握した上で薬剤師確保策の策定を都道府県に促す―ことなどについて検討を求めた。