厚生労働省は9月16日、「令和3年度(2021年度)医療費の動向」を公表した。それによると、21年度の医療費は前年度から約2.0兆円(4.6%)増え、44.2兆円となったことがわかった。新型コロナウイルス感染症の影響で医療費が激減した前年度からの反動で、医療費が大きく伸びた。
今回公表されたのは、労災・全額自費等の費用を含まない概算医療費の年計で、国民医療費の約98%に相当する。
医療費の内訳を制度別にみると、医療保険適用の75歳未満は25.0兆円(前年度比6.4%増)、75歳以上は17.1兆円(2.7%増)、公費は2.2兆円(1.1%増)。診療種類別の内訳は、入院17.6兆円(2.8%増)、入院外15.3兆円(7.5%増)、調剤7.8兆円(2.7%増)などで、制度別では医療保険適用の75歳未満、診療種類別では入院外の医療費の伸びが大きかった。
医療機関を受診した延患者数に相当する受診延日数は前年度比で3.3%増加した。診療種類別の伸び率は、入院1.0%減、入院外4.5%増、調剤4.8%増など。1日当たり医療費の伸び率は全体で1.3%増、診療種類別の内訳は入院3.9%増、入院外2.9%増、調剤2.0%減などだった。
同日に、「令和3年度(21年度)医科医療費(電算処理分)の動向」も公表された。「匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース(NDB)」から提供を受けた、21年度の医科診療報酬明細書情報を集計・分析したもの。
結果を見ると、21年度の医科医療費(電算処理分に限る)の伸び率は5.0%増、受診延日数は3.4%増、1日当たり医療費は1.6%増だった。医療機関種類別で見た医科医療費の伸び率は、大学病院7.0%増、公的病院4.3%増、法人病院3.3%増、診療所7.5%増。病院の病床規模別の伸び率では、200床未満が3.2%増、200床以上が4.5%増となった。
疾病分類別に前年度の医療費の構成比が高かったものの伸び率を見ると、循環器系の疾患は2.5%増、新生物は3.5%増、筋骨格系および結合組織の疾患は5.1%増、腎尿路生殖器系の疾患が1.8%増など。また、前年度に大きく落ち込んだ(25.3%減)呼吸器系の疾患は、13.4%と高い伸びを示した。診療内容別医療費で前年度に構成比が高かったものの伸び率は、入院基本料、特定入院料等が4.9%増、DPC包括部分が1.4%減、薬剤料が3.7%増、検査・病理診断が15.1%増、手術・麻酔が4.1%増などで推移した。