塩野義製薬は9月28日、厚生労働省に承認申請中で「臨床症状の改善効果が確認されていない」などを理由に継続審議扱いとなっているCOVID-19治療薬「ゾコーバ錠」(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、国際共同第2/3相試験の第3相パートで主要評価項目を達成したとする結果速報を発表した。塩野義は、速報は厚労省とPMDAに共有済みとし、「今後の承認審査や審議について両組織との協議を開始している」としている。
第3相パートは、日本、韓国、ベトナムで登録された軽症・中等症患者1821例を対象に、ゾコーバ錠(低用量・高用量の2用量)を1日1回、5日間経口投与した際の臨床症状の改善効果を検証することを主目的として実施。
速報によると、主要評価項目である「オミクロン株に特徴的な5症状(鼻水・鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさ・発熱、倦怠感)の消失までの時間」でプラセボ群と比較して約24時間短縮し有意な症状改善効果が確認され、抗ウイルス効果も示されたという。
塩野義は「オミクロン株流行期に実施した試験で、COVID-19症状の罹患期間を主要評価項目としてプラセボに対する有意差を世界で初めて示した経口抗ウイルス薬」としてゾコーバ開発の意義を強調している。
「ゾコーバ」第3相パート結果速報の概要
①症状消失までの時間の中央値:ゾコーバ群167.9時間、プラセボ群192.2時間
②投与4日目(3回投与後)におけるウイルスRNA変化量:プラセボ群との比較で1.4 log10 copies/mL以上の差
【関連記事】
塩野義のCOVID-19治療薬「ゾコーバ」、継続審議扱いに─「有効性の推定判断できない」
塩野義製薬:COVID-19治療薬の第3相試験結果速報「9月までに入手する」
塩野義の新型コロナ治療薬「一刻も早い承認を」─感染症学会と化学療法学会が提言
「ゾコーバ」緊急承認求めた提言への批判に対し「補足説明」─感染症学会と化学療法学会
【この人に聞きたい】緊急承認制度による承認審議の課題は?〜小野俊介(東京大学大学院薬学系研究科准教授)