厚生労働省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」は12月14日、「第8次医療計画」における地域医療構想の進め方を大筋でまとめた。各医療機関における対応方針の策定率をKPI(重要業績評価指標)として地域医療構想の進捗を管理することや、病床数と将来の病床数の必要量の差が大きい構想区域について要因分析を行うことなどを、都道府県に求める。「第8次医療計画等に関する検討会」が年内に取りまとめる意見書に今回の内容を反映させる。
地域医療構想の進め方については、2022年3月に発出された通知で、▶22、23年度に、民間を含む各医療機関の地域医療構想に関する対応方針の策定や検証・見直しを行う、▶対応方針の検討状況(合意・検証済、協議・検証中など)を定期的に厚労省に報告・公表する―との方針が示されていた。
この通知を踏まえ、厚労省は同日のWGに22年9月時点の状況を確認した結果を報告。それによると、新型コロナ感染症の影響で20年以降は地域医療構想の検討を進めるのが難しい状況にあり、地域医療構想調整会議で対応方針の合意や検証が完了している医療機関の割合は、医療機関単位で全体の36%、病床単位では61%にとどまることが明らかになった。これに対して協議・検証未開始の割合は医療機関単位で38%、病床単位では22%に達している。
このため厚労省は次期医療計画における改善策として、▶都道府県は対応方針策定率をKPIとし、年度ごとにPDCAサイクルに沿って地域医療構想調整会議を運営する、▶病床数と将来の病床数の必要量に大きな差がある構想区域は、その要因を分析・評価して結果を公表するとともに、必要な方策を講じる―ことを提案した。後者は、病床が全て稼働していない病棟がある医療機関を把握し、地域医療構想調整会議で病棟を稼働していない理由や今後の運用見通しについての説明を求めることなどを想定している。
このほか、▶地域医療構想調整会議の資料や議事録は公表するものであることを明確化する、▶病床数と将来の病床数の必要量の差が大きい構想地域がある都道府県を優先する形で国がデータ活用を支援する―ことなども提案し、概ね了承された。