政府は12月23日、2023年度予算案を閣議決定した。一般歳出のうち社会保障関係費は36兆8889億円となり、前年度比で6154億円(1.7%)の増加。年金スライド分を除く自然増は4100億円程度で、財務省は、「実質的な伸びを高齢化による増加分におさめる方針を達成した」としている。
厚生労働省所管の一般会計は33兆1686億円(22年度当初予算比1.6%増)。このうち社会保障関係費は32兆8514億円(1.7%増)で、内訳は、▶年金13兆78億円(2.5%増)、▶医療12兆2356億円(0.5%増)、▶介護3兆6959億円(2.7%増)―などとなった。
23年度予算案は、(1)コロナ禍からの経済社会活動の回復を支える保健・医療・介護の構築、(2)成長と分配の好循環に向けた「人への投資」、(3)安心できる暮らしと包摂社会の実現―を施策の柱に据えた。
(1)では医療・介護分野のDXと医療のサイバーセキュリティー対策の推進で19億円を確保し、▶電子カルテ情報の標準化、▶医療分野のDXを踏まえたサイバーセキュリティー対策、▶科学的介護データ提供用データベースの機能拡充―などに取り組む。地域医療構想や医師偏在対策などには896億円を計上し、地域医療介護総合確保基金等による支援や、総合診療医の養成支援、地域枠の医師のキャリア支援―などを行う。(2)では、地域医療介護総合確保基金などを活用して、介護分野へのICT・ロボットの導入等による生産性向上、介護職員の働く環境改善―などを推進する。
一方、23年度薬価改定は、平均乖離率の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象に実施。急激な原材料費の高騰やイノベーションへの対応として、▶不採算品に不採算品再算定を適用して薬価を引き上げる、▶「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の対象で薬価が下がる品目に、改定前と遜色ない薬価水準を維持するための追加的加算を行う―特例措置も講じる。これらによる薬剤削減効果は3100億円(うち国費722億円)となる見通し。
診療報酬でも、▶通常の保険証利用の場合の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の評価を見直す(初診6点、再診2点)、▶「一般名処方加算」と「外来後発医薬品使用体制加算」に2点、「後発医薬品使用体制加算」に20点を上乗せする―特例を実施(期間は23年4月~12月)。これらに医療費ベースで250億円(国費63億円)の財源が必要となる。