1 脳卒中後てんかんの頻度
・脳卒中後てんかんは,高齢者のてんかんの半数を占める。
・脳卒中後てんかんは,高齢者のコモンディジーズである。
2 脳卒中後てんかんの定義
・脳卒中後てんかんは,脳卒中後1週間以内に起こる早期発作と,1週間以降に起こる遅発発作に分類され,背景病態が異なる。
・脳卒中後てんかんでは,1回の非誘発性発作(遅発発作)でも,その後の10年間で発作が再発する可能性が高いため,てんかんと診断して治療を始めてよい。
3 脳卒中後てんかんの症状
・脳卒中後てんかんの4割は持続時間が短い部分発作であり,痙攣を伴わないことが多い。
・脳卒中後てんかんの正診への第一歩は,脳卒中生存者の症候からこの病態を疑うことである。
4 脳卒中後てんかんのリスク評価
・脳卒中後てんかんのリスク評価指標として,脳出血ではCAVEスコア,SeLECTスコアが知られている。
・脳卒中後てんかんの新リスク指標として,脳表シデローシスを組み込んだCAVE-Sスコア,SeLECT-Sスコアが考案された。
5 脳卒中後てんかんの診断,画像所見
・脳卒中後てんかんの診断には,脳波検査が必須である。
・脳卒中後てんかんの補助診断法として,脳血流SPECT法による過灌流所見が知られている。
6 脳卒中後てんかんの治療・予防
・脳卒中後の早期発作予防には,スタチンが有効である可能性がある。
・脳卒中後てんかんの予防において,新世代抗てんかん薬の有効性・安全性が示唆されている。
7 脳卒中後てんかんの予後
・脳卒中後てんかんを発症すると,脳卒中の予後自体が悪化する。
・脳卒中後てんかんの予防が,脳卒中生存者の長期予後を維持するための鍵となる。
8 脳卒中生存者のQOL向上
・2018年に成立した「脳卒中・循環器病対策基本法」にも,脳卒中の後遺症のひとつとしててんかんが取り上げられている。
・新世代抗てんかん薬の導入は,高齢で服薬数の多い脳卒中患者にとっては特に有用性が高い。
・アルツハイマー型認知症の合併は,てんかんの有病率をさらに上昇させる。高齢者において,脳卒中-認知症-てんかんは疾患トライアングルを形成しがちである。