中央社会保険医療協議会薬価専門部会は2月1日、新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ錠」の薬価算定上の取扱いを大筋で固めた。薬価収載時の薬価算定は、複数の医薬品を類似薬として類似薬効比較方式で行うことなどが盛り込まれた。次回は関係業界から意見を聴取する。
高額薬剤が医療保険財政に及ぼす影響への懸念から、2022年度薬価制度改革では、市場規模が年間1500億円を超える品目が薬事承認された場合には、通常の薬価算定の手続きに先立って中医協総会で議論する新ルールを導入。ゾコーバ錠は、今後の新型コロナの感染動向次第では市場規模が基準額を超える可能性があることから、同ルールを初めて適用。同剤に限定した薬価算定上の特例的な扱いが薬価専門部会で議論されている。
主な検討課題は、(1)薬価収載時の薬価算定方法、(2)薬価収載後の価格調整のあり方―の2項目。(1)は類似薬効比較方式で算定する際の比較薬の選択が争点。既存の新型コロナ治療薬とインフルエンザ治療薬が候補だが、どちらを選ぶかで算定薬価が大きく変動するためだ。1日の部会では、比較薬を1つに限定せず、複数の比較薬で薬価算定する案が提示され、概ね了承された。
(2)では市場規模の急速な拡大に速やかに対応できるように、市場拡大再算定の特例(年間市場規模が1000億円超、1500億円超の場合)の適用については、新型コロナの感染状況、同剤の投与割合や出荷量などから市場規模を推計したデータを用いて判断。これ以外の市場拡大再算定ルール(薬価改定時の再算定、四半期再算定)は、通常通りNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)や薬価調査データで判断すると整理した。
市場拡大再算定の特例の適用では、引き下げ率や引き下げ率の上限をどうするかも論点となっており、通常よりも厳格な対応を求める声が支払・診療側の双方から出ている。
なお、「ゾコーバ錠」は1年間の期限付きで緊急承認されたものであり、期限内に改めて承認申請し、本承認を受ける必要がある。このため同日の部会では本承認後に速やかに中医協総会への報告を求め、再度、薬価設定のあり方などを議論する方針も確認された。